日記

ニュー·センチメンタリティの記録

2023/03/13 #ここではない

・いや、ここしかない。

 

「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」を観た。アカデミー賞を席巻した映画である。

どうやら確定申告をしながらカンフーをするおばさんが出てくるマルチバースものだという知識はあった。オスカー受賞式の前に、虫の知らせで観てきたら、ニュースになっており、ギリギリのタイミングだったなと思う。オスカーとアカデミー賞ってどういう関係ですか?

 

ここから先は本編にふれるが、

 

 

 

 

俺は、「今ここの世界が1番幸せだ」ということを伝えてくれてと泣いてしまった。四畳半神話大系もそうだったように。

 

やはり、シンガーもカンフーマスターも料理人もピザのキャッチも、コインランドリーよりは楽しそう。ソーセージでも幸せそうだ。

だけど、今目の前で情けなく監査官に謝ってるこの男と、一緒にコインランドリーをやって、娘は中退してて、領収書は山になってる、この世界で生きてきた。こうなるしかなかった。全部の選択肢が、ここへ導いた。すべての選択肢に愛着がある。

愛すべき、どうしようもないこの世界を見捨てるなんでできない。

だから、残った。この世界で1番幸せになろうとした。

僕はそれを選んでくれて嬉しいと思い泣きました。これは、単純に僕があらゆる世界に移動できないから、この世界に残ってくれて救われる気持ちになるからかもしれないです。

 

ぼくたち、わたしたちにとって、すべてのマルチバースは、あらゆるところに一斉にあって、代え難い「ここ」にいる。

EVERYTHING EVERYWHERE ALL AT ONCE

ということなのかもしれない。

 

・まあ、でも俺も「武道館でライブするバンド」とか「ペンライトの海で歌うアイドル」とか「家系ラーメンの創始者」とかのマルチバースに行ってみたいけどね。そっちの方が楽しそうじゃん。生きてる間に「ここしかない」なんて悟ってらんないよ。